Youth man and the Sea

写真、フィルム、デジタル、音楽、それらの戯言

積立

君は帰ってきた俺のポケットから小銭を叩き出し、瓶詰めしていく。 悪びれる素振りもなければ、ボールを待つ犬のように屈託がない。ある日もう少しで、蓋に付きそうな時に空っぽになった。季節が来て去り、また蓋に付きそうになった時に。 「この分と前の分…

揺られる旅

ただただ、揺られる。ガタンゴトン、「次はー」、プシュー、ガタンゴトン、「次はー」、プシュー。それらの音が、何度も何度も繰り返す。 中々進まないように見えて、確実に進む。そして、その日の終わりに目的地につく。 すると、「もうこんな時間になって…

田舎の街

知らない街に来ると、不思議な気持ちになる。 ここには、俺が何をしようと左右されない人ばかりだ。 仕事のミスも、浮気も、喧嘩も、何なら人を殺しても、この街の人の人生に何も左右しない。 自分の影響力がいかに、限定的で小さなものか思い知らされる。 …

今年見に行ってよかったもの

今年はファインダー越しに色々みた。 綺麗な物もはあれば、そうじゃない物も。ファインダーを噛まして変わる世界もあれば、何も変わらない世界も。どこかに行けば、綺麗な写真が撮れると言うのは、まやかしだ。 目の前の人生を愛しさえすれば、良い写真は日…

朝暮

7:08。 読みたくもない村上春樹と、濃い血液みたいな珈琲に腐葉土みたいなパン。朝が来る。 フィルムは少しだけ残している。帰り道に線路を撮ろうと今は考えている。 それも多分、忘れるような気がする。恥ずべきことだが、俺は良く忘れてしまう。 20歳前後…

夜の縁

この敗北感に諦めを足しても何にもならない事は良く理解してる。死ぬ勇気がない俺は生きる道かしない。馬鹿げてるが、馬鹿になって前に進むしかない。

おかけになった電話は。

しなきゃならない事としたい事を混ぜて、脳みその中でシェイクする。クリームソーダみたいに、粘つく気泡が頭蓋で爆ぜる。全てが上手くいくが気する夜に限って君は電話にでない。一駅手前で、突発的に降りて知らないけど見覚えのあるコンビニで珈琲をいれる…

嘘つきの涙の味

嘘はつかない。何としてでも。嘘の先に感情の昂りと爆発があっても、スタートが嘘なら、それは似非だ。スクリーンで起こった体験は擬似でしかない。出会いを求めて出会っても、運命ではないし。愛されたいと願って愛したところで、破局は近しい。お洒落にな…

キオク

記憶は曖昧だ。例えば昔の恋人と向かった場所も、君と言った気がする。そう告げると君は、この週末は喧嘩すると膨れた。ただ俺は、この事実をそんなにネガティヴとは思っていないよ。記憶が望むものに置き換えられていく特質があるんだ。さすれば、如何に俺…

冬の匂い

冬の匂いがする。蟻の巣みたいなビルの暖房は身体に堪える。一日中、あの風を身体に浴びると生きてるか死んでるか分からなくなる。残業が終わり、日を跨ぎながら大股でビルの外に出る。すると、「冷たい」や「寒い」より「痛い」と思うほどの浜風が身体を叩…

内緒

多くは語らない。饒舌は賢しいだけだから。現実と非現実の境目の壁にもたれてる。秘すれば花。ここは知られてないし。明かしてない。入り口のない、見世物小屋。今後どうするかも決めてない。緩やかに文字を綴り、写真を添えて、見つけるべき人に届くように…

「歩く」と言う遊び

歩くのが好きだ。身の丈にあった速度で進み、目につくものに意見を述べる。隣に誰もいなくても、いいし。隣に誰かいるなら、最高だ。その誰かが気が合って、笑い合える関係なら、この上ない。人と人はすれ違いばかりで、同じ方向に歩けるのは、人生では一時…

罵詈

俺にとっての恋愛は女性は、「贅沢」だと「娯楽」だと滅多打ちに罵倒される。嫌な気はしない、明晰で感受性が敏感で、でもウブな彼女にとって、それらは愛撫に近しいんだろうなと思うと胸が甘くなる。浮つきたい気持ちと浮つきたくない気持ちの狭間で足掻く1…

あと少ししたら、この道を通らなくなると思うと不思議な気持ちになる。恐らく人生でもっとも早く起きて、人生で最も遅く帰った。この2年半は、四半世紀ちょいでもっとも働いた期間だった。最後まで、負けるな俺。

戯言

一人の夜を探して旅にでたい。無精髭を飽きるほど蓄えた頃に「ただいま」と言いたい。今も昔も一人の夜が寂しいと、教えてくれる君は偉大だ。