10 代みたいな恋を、 30 代で。
美味しいものを食べにいこうよ。
そのあと、少しだけ川沿いを歩こう。
下手くそなハミングと、血液みたいなコーヒー。
今までの恋人と、今までのセックスの話。
疲れ切る前に部屋に戻ったら、言葉と靴を脱ぎ捨てる。
ゆっくりと愛撫しあって、昂りきる前に止めて、一緒に湯船に浸かろう。
湯船でもキスを重ね、俺の髪も身体も洗っておくれ。
ドライヤーをあてる間もなく、ベッドに雪崩込み、続きをしよう。
翌日、寝不足になることは分かってる。
それでも、高揚感が寝かしてくれない。
夜に漕ぎ出そう。
10 代みたいな恋を、 30 代で。
服を着て、恋をするのに、最後は裸で愛し合う。
俺はいつからか、お洒落をしなくなった。
その分、身体に気を使うようになった。
他者ではなく自己に投資をする。
自己が健全であれば、他者との関係も良好になる。
それを知らない人が多い。特に若い人は。
教えてあげたいけど、疎ましく思われるから黙って見てる。
服を着て、恋をするのに、最後は裸で愛し合う。
人間は賢しい。
旅に行こう
旅に行こう。
フィルムを持って、 50 mm F 1.2 をだけ。
被写体には、歩いて近づき、歩いて遠のく。
帰るまでに、何が撮れたか分からない。
それでいい。旅の間は、旅だ。
思い出は帰ってから、確かめる。
地平線も、森も、車窓も、地産の食事も。
今すぐに見返すのは、もったいない。
今は、今を、今に、殉じる。
旅に行こう。