Youth man and the Sea

写真、フィルム、デジタル、音楽、それらの戯言

忘れていくことすら、忘れていく。

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思い出は冷たい奴で、感情が呼んでるのに定時通りには顔を出さなかったり、時間を違えて、さもしい夜にやってきがる。

 

俺は賢しいふりをしているだけの人間なので、多くを忘れていく。

そして、誰かに、同じことを何度も聞く。

 

写真を撮り、歌詞を綴り、それでも忘れてく。

 

一番長く付き合った彼女のシャンプーの銘柄、死んだあいつから貰ったオイルライターのロゴ、

シンガーのあの娘と別れた後にみた映画のラストシーン、

図書館でたまたま借りて偉く気に入ったハードボイルド小説のタイトル、

あの夜になぜ死なずにすんで、なぜ今も生きれてるか。

 

そして、多くの穏やかな日常に、この身を浸してると、忘れてくことすら忘れてく。

沈黙は死の息子なのか

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音楽が忙しくて、更新がないがしろになってました。

 

アルバムができ、少し落ち着いたし、何かを書いていこうと思います。

言葉を紡ぐのは、俺にとってライフワークであり、ここは俺の感情の源流に近しい場所です。

 

観客がいないのに演じる役者がいた場合、それは演じているのではなく本人の性分なのでしょう。

見る人がいるかもわからない、暗闇に話しかけ続ける。

そういった、キチガイじみた行為があり、初めて暴力的なこの世界との調和を保てるのです。

俺は、独り言を残す嫌いがあります。ただ、 SNS スクラブル交差点みたいなところです。

もし、そこで羞恥を行えば、望まぬ声が耳に入る。

ここは、路地裏のカウンターしかない、小さな BAR のようなものだ。

 

さぁ、また、緩やかにペンを走らせ、キーを叩き、画面を撫で、単語を、文章を、句読点を、引き連れ、自分と向きあおう。

 

無理にとは言いません。

週末はあなたはお忙しいでしょうから、平日の夜の底に、寝れない夜にでも、覗いてみてください。

「道々、考える」


どれが「正解」な道かは、いつもよく分からないけど、それは道半ばに「正解」だったと思えるようにすれば良いと思う。

例えば、少し前の話。助手席で、俺のアルバムを聴きながら難しい顔で歌詞を追いかけていた彼女。その姿は微笑ましく、それを思うと、今でも胸が甘くなり、ここまでの全てが「正解」な気がしてくる。俺は、悲しくも喜ばしくも、心底、単純な人間だ。

また、普段とは違う場所でライブをして、フロアが静かになり、ゆっくりと熱を帯びる瞬間。鳩尾に高熱が上がってくる、あの興奮。やはり、ここまでの全てが「正解」だったんだな、と思う。

あの-多くの決断が差し迫りながら、どうするか決めあぐねていた-夜に、小さめなスクリーンに映ってたラストシーンのセリフ「道々考える」という言葉がよぎる。

仕事終わり、染みたっれた今日に捕まらないように、暗く狭い映画館の端の席に滑り込み、息を潜めて見た、あの映画。

「道々考える」ほんとに、その通りだ。

若い頃は決断のたびに「正解」を選ぼうとしてた嫌いがある。
今は「正解」を選ぶんじゃなくて、選んだものを「正解」と言えるように生きてきたい、と強く思う。
そのためには、慎重に選んで、勇気を出して捨て、自分をよく理解し、窘め、諭し、そして愛する必要がある。
上手く出来る時もあれば、まったく上手くいかない時もあるけど

それでも、とりあえず、俺にも俺とすれ違う人たちにも、いい週末を。

何でもあるけど、何もない。その上、何でもない日。


何かを書きたいと思う。
何をかと、聞かれれば困る。

郊外のショッピングモールの飲食店が並ぶコーナー。
お腹が空き立ち寄ったが、何を食べたいか一向に分からない。
そんな、心情とよく似ている。

もしくは深夜の SA だ。どれも不味そうに思える。
でも、この先の道のりを考えるとお腹に入れなければいけない。
生きてくために、食べるはずなのに、それが自分を殺すような気がして泣けてくる。
まるで、今書いている文章と同じだ。

そして、もし書き出すと、定るのかと言われれても、答えは定まらない、だ。
そして、何かを書き出してもだいたいは駄文で終わっていく。
悲しいかな。

もう少し、文才と根気があれば、違うことになったかも知れない。
そう思いながら、ぬるくなったコーヒーの底に溜まった、カスを覗く。

仕事が終わらないのは、自分が遅いからか、仕事が多いからか。
帰ってこない彼女に悪態を吐く。
昨日の夜遅くに、玄関の彼女の靴たちを下駄箱に放り込んだ。俺は、一人暮らしなんだと、自分に言い聞かす。

普段は、底が平たい靴を履くのに、高いヒールを履いても綺麗に歩く彼女。
ほんとにむかつく、女だ、そしてそんな女がいると思うと、この世界は残酷な気がしてやまない。

今日は早く寝よう。

フルハウスは降りれない。

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数日前、テレビ、ニュースサイト、キャスター、評論家たちが一生懸命に革命をとめようとする。
今の自分の生活を守りたいだけの馬鹿だ。

 

方や、馬鹿で貧乏な民衆は「俺たちだけ不幸は堪らない」と言う。

 

「ならば、混沌にしてみよう。流れがないから、底に俺たちは沈殿するのだ」
「激しくシェイクして、天と地の境が分からなくしてやる」

 

そんな声が聞こえてきた。

 

幕が開くと、真っ赤に染まっていく、大国。
それが良いか、悪いかは、まだ分からない。

 

ただ、20世紀の羊飼いとして栄華を誇ったメディアでさえ、
少しだけ賢しくなった羊を導くことが難しくなった。
それを目の当たりにして、何とも言えない気持ちになった。

 

多分、俺の住むこの国は変わらないだろう。
金がなくても、賢しくありたいものだ。

俺がアメリカに行くことなんか一生ないだろう

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明け方クラブ帰りの彼女から電話がくる。

iPhoneの画面が割れたと、それをタダにしたいという。

「ずるいことは、田原に相談するのが一番やけー」と甘い声を出す。

 

土曜なのに、仕事な俺と。

夜遊びから帰りの彼女。

朝の数分、入れ替えの間。

まるで舞台袖での会話。

転換の間に、今の俳優と次の俳優が会す。

それに近い。

 

職場に着くまでの40分。

彼女は、25分ぐらいのところで、思いついたように言う。

 

「そーいえば、メイ、今好きな人がいるけー」

 

分かってる。彼女は良い女だ。予想はしてた。

こんなに長く空き状態が続くわけがない。

 

今は彼女とは希薄な関係だ。

彼女が空いた時間に、電話かけてきて、少しだけ話す。

仕事の哲学、恋愛の疎ましさ、過去のセックス、俺があの時に恋人がいなければ、そんなことを話す。

俺は、彼女との会話も、彼女との情事も好きだった。

本人には伝えてないが、何度かは彼女と付き合うことも真剣に考えた。

 

「まだ、キスしかしとらんけー」

 

彼女は、残り少し。最後の右折で言った。

「失恋」と言えば、過度だし。

「お幸せに」と言えるほど、俺は淡白ではなかった。

 

「ただ、田原がもしアメリカに一緒に行こうって言えば、ついてくけー」

 

彼女は俺が、エンジンを切った時にいった。

別にアメリカに行くなんて、話はしてないし。

俺がアメリカに行くことなんか一生ないだろう。

 

「わかった、その時は言うよ。一緒に行こう」

 

多分だけど。彼女はまだ俺を好きだし、俺は彼女がまだ好きなんだろう。

電話を切り、職場につき、タイムカードを押しながら、そう思った。